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登録コーチインタビュー
エグゼクティブコーチ/登録コーチ
守屋文貴
−−守屋さんとコーチングとの出会いについて教えてください。
どん底で出会ったコーチング
■守屋文貴コーチ 「コーチングとの出会いは、ちょうどベンチャーを退職する直前でした。
心身ともにどん底の時です。
もう既に辞める決意はしていて、この次のステップを考えるためというのが、コーチングを受けた動機でした。
「次こそは成功してやろう」とまだギラギラしていました 笑
何人かのコーチに体験セッションをお願いして、その中から最もフィーリングがあった 山家正尚コーチ にコーチングをお願いしました。
たったひとつの質問が自分を変えた
面白かったというか、不思議だったのは、コーチが、「次の仕事を考える前に、ご両親との関係を見直しましょう」と言ったことです。
今はその理由も良く分かるのですが、その頃は「仕事で成功したいからコーチングを受けているのに、何で両親との関係を見直す必要があるんだろう?」と半信半疑で聞いたのを覚えています。
(その頃は両親との関係が悪く、特に母親に対して反発心がありました。)
ところが、コーチと対話を繰り返しているうちに、実は両親との関係を避けることに大きな心のエネルギーを使っていたことに気付きました。
人間は、嫌なことに直面しないで、避けようとするとすごく疲れるのですね。
しかも自覚していなかったので、自分の知らないうちに消耗していたわけです。
そんな中、コーチのたった一つの質問で、両親との関係を大きく変えることができたのです。
それは、「お母さんとの楽しい思い出はないんですか?」という質問でした。
セッション中は心に響くこともなく、「特に思い出せません」と返事しました。
ところが、その後何日かして家の近くの公園を通り過ぎたとき、急にその質問が頭に浮かんできたのです。
同時に幼いころの母との思い出が溢れるように思いだされてきました。
一緒に手をつないで歩いたこと、毎日本を読んでくれたこと。。。
かつて自分がいかに両親に愛情を持っていたか、また愛情を与えられていたかを思い出すことが出来ました。
両親のいやな面しか見ていなかった視点が、良い部分を見ることが出来るようになったのです。その後、両親との関係は大変良くなりました。
コーチのすることは質問することと、きちんと聞くことくらいですが、時にはたった一つの質問で人生を大きく変えることができるのです。
コーチングの持つ可能性の大きさを感じ、自分も学びたいと思うようになりました。」
−−これまで、コーチとしてどのような活動をされてきましたか?
経営者の「志」の実現をサポート
■守屋文貴コーチ 「主に、経営者に対してパーソナルコーチングをしています。
サポートしているのは、世の中のために良い変化を起こしたいという「志」を持っている経営者です。
私は、医師としての経験、また医療ビジネスの経験もあることから、クライアントには医療分野に関わる方が多いです。
コーチとして重視しているのは、クライアントの「自己理解を深めること」です。
フォーブズという雑誌のアンケートでも、成功者に共通していた資質は「自分を良く知っていたこと」という結果が出ています。
自己理解とは「自分はなぜそう思ったんだろう」とか「なぜそういう行動をしたんだろう」というのを言葉で表せる状態です。人間は自分への理解を深めること(言葉化)によって、初めて自分をコントロールし、適切な目標を掲げることができるようになります。
経営者は常に迷いと不安の中におり、まさに自分がそうだったのですが・・・(苦笑)
自己理解が進むと、迷いの森から抜け出るヒントが得られます。
冒頭に「志」を持った経営者をサポートしていきたい、と書きました。
「志」の語源は、こころがある方向を目指す意味の「心指す」だと言われます。
クライアントが自らのこころの指す方向に沿って歩いているかどうかを知るための羅針盤のようなコーチでありたい。そう思っています。
「ヒト」の専門家としてベンチャーを支援
経営者には、税務の専門家も、法律の専門家も、ITの専門家も、経営の専門家もついていますが、「ヒト」の専門家はついているケースはあまりありません。
一方、私の経験からも、ベンチャー経営者はヒトの問題で悩むケースが多いと思います。
ベンチャーにいた人間なら大抵、経営陣どうし、部門どうしの深刻な対立を経験しているのではないでしょうか。
私はコーチングだけではなく、MBTI(エムビーティーアイ)という性格検査を併用して組織開発(コミュニケーション改善、チームビルディング、リーダシップ開発)の支援を行っています。
コンフリクトは、自分が価値を置いていることと、相手が価値を置いていることが異なることによって生じます。MBTIは人間がどんなことに価値を置いており、またモチベートされているのかを知るメソッドです。
このフレームワークを通して、「人と自分って本当に全然違うんだなあ」という(極めて当たり前のことを)体感することが可能です。
そして、自分と他者は違うんだということを理解することが、コミュニケーションの出発点でもあるわけです。MBTIを幹部層に実施しただけで、組織の雰囲気ががらりと変わる
ことも少なくありません。
私はこれを、ベンチャーや医療の世界に広めていこうと思っています。
MBTIを用いた自己分析ワークショップを開催するほか、主にヘルスケア関連の企業や医療機関に対してコンサルティングプログラムを提供しています。
組織で働く人々が持ち味を発揮しながら、お互いを尊重して働けるような組織作りの支援をしていきます。」
−−今後、コーチとしてやりたいことはどのようなことでしょうか?
■守屋文貴コーチ 「コーチングを実践するだけではなく、コーチングや心理学を「伝える」活動をしていきたいと思っています。
具体的には、医療系の社会人大学院で、コミュニケーション学を教えることは決まっています
さらに、MBAのコースなどで、コーチングや心理学の知識を伝えたいなと思っています。
特に効果的な目標設定の方法、NLPを使った状態管理、セルフコーチングの基本などセルフコントロールに役立つ知識を中心に教えたいなと。
経営には自分の外側のマネジメントだけではなく、自分の内側(こころ)のマネジメントが不可欠だと思いますから。」
−−コーチングバンクに期待することがあれば、教えてください。
■守屋文貴コーチ 「まだまだ日本は、コーチやカウンセラーをつけるということはまだ一般的にはなっていません。
コーチングバンクのように、コーチ業界のプレゼンスを高める活動をしている機関の重要性はますます高まってくるのではないかと思います。
ぜひ、コーチングを、一つの文化として根付かせるような活動を継続頂ければと思います。」
(2008.9.19.収録 メールインタビューにて 聞き手:aguni)