登録コーチインタビュー
国際コーチ連盟(ICF)日本支部 代表理事林 健太郎
――林さんとコーチングとの出会いについて教えて下さい
林 健太郎コーチ「コーチングという手法の存在を知ったのはオーストラリア人で日本で活動するアンソニー・クルカスさんというコーチとの出会いによるものでした。アンソニーとの初回のセッションで言われた言葉、『あなたの人生の夢は全てお金で買えるね』という一言にショックを受けるとともに、ここで自分の人生を変えないと取り返しがつかなくなると思ったのがきっかけでした。
私は当時、海外営業やマーケティングを専門として仕事をしていたのですが、コーチングという職業があることすら知りませんでした。転職を考えていた私は知人の紹介によりアンソニーのことを知り、その日は転職の相談をしに行ったつもりでした。アンソニーは『それは自分の専門ではない、コーチングを専門にやっている』と教えてくれました。言葉で説明するより実際にやってみたほうが早いということで、その日アンソニーからセッションを受けたのが私のコーチングとの出会いで、そのとき受けたフィードバックが冒頭の言葉でした。
『初対面の人にそういう言葉を言うなんて、なんて失礼なんだ』という憤りとともに帰路についた私ですが、家に帰り着く頃には、『指摘されたことはあながち間違ってなく、物質的な豊かさにとらわれている自分の姿を表す写し鏡であり、それに本当は満足していないという本質を突いているのではないか』ということも感じ始めていました。私はコーチングを続けて受けることにしました。
それから半年間のコーチングで、物事は劇的に変化しました。簡単にまとめると、自分自身の思考パターンに気付くことができ、それを変化させることで行動が変わり、その行動により周りに違うメッセージを伝えることが大きな変容に繋がる、ということが理解できるようになったわけですが、それは仕事にも私生活にも好影響を与えました。
そして、いつしかコーチングを生業とすることに興味が湧き、アメリカ、コーチUという教育機関にてコーチングの教育を受けるに至りました。」――その後、これまでコーチとしてどのような活動をされてきましたか?
林 健太郎コーチ「企業向けのコーチングのご用命を多く受けているのですが、これまでの海外ビジネス経験から、グローバル企業でのマネジメント層や経営層の皆さまとお仕事をさせていただく機会に恵まれてきました。特に、部下やステークホルダーとのコミュニケーションを改善することによるビジネスの効率化や、異なる商習慣が存在する中でいかに協働できるかという部分をテーマとしたコーチングを多く請け負っています。グローバルビジネスに関わる知識、言語力、実務における海外経験など、これまでの経験を活用してお役に立てる分野だと考えています。
また個人向けのコーチングについては、やはりグローバルな場で活躍の機会を求めている方々からのご用命が多いです。私の場合は、電話やスカイプではなく、なるべく対面でお目にかかってのセッションをするようにしています。やはり、このライブ感というか、実際に二人三脚で目的に向かって共に走る感覚を大切にしています。
アメリカのTeam Coaching International社の認定を受けた数少ない日本人としてチームコーチングという手法にも精通しています。特に企業の場合は個人の意志だけで何か大きな決断をするという機会は少ないため、個人へのコーチングだけでは解決しない局面が見られます。チーム全体を1つの人格として取り扱うコーチングによって全体の会話を深め、活性化させることで新しい活路を見出すことはこれからの企業経営にとって重要なテーマであると考えています。
こういったチームとしてのコミュニケーションを深める試みを始めとして海外で生まれたアイデアを日本に紹介する活動にも積極的に関わっています。特に国際コーチ連盟(ICF)との関わりは深く、国際コーチ連盟日本支部(ICFジャパン)の発足当時からの運営メンバーとしてその発展に寄与してきました。また2013年の一般社団法人化にあたり代表理事としてより深く関わらせていただくなど、海外からの情報を日本に紹介、発信することを一つの使命として捉えています。」
――今後、コーチとしてやりたいことはどのようなことでしょうか?
林 健太郎コーチ「私個人として考えているのは、日本企業のグローバル展開により深く関わり、貢献していきたいということです。私のこれまでの経験から感じるのは、日本企業の海外戦略には発展の可能性がまだまだあるということです。現地スタッフとのコミュニケーションをいかに有効活用するかにより、ビジネスの可能性は飛躍的に伸びると思います。そして、それは英語力という単純な問題ではなく、どれだけ深いコミュニケーションを取ることができるかということも加味して考える必要があります。その分野においてお手伝いができるのではないかと思います。
また、先ほどお話したICFジャパンの活動には2014年も深く関わり続け、日本におけるコーチングの業界団体の一翼を担うということに挑戦していきたいと思っています。私の中でICFジャパンという存在は水道管のようなもので、表にはあまり見えないけれど、人々の生活や活動を下支えするような存在でありたいと思っています。コーチングを職業して営む方々が誇りを持って活動することができ、社会にコーチングという言葉がより普及するために必要な活動を仲間とともにどんどん進めていこうと思っています。
一つ自分の中で大きな目標を語るとすれば、日本独自の文化や風習を活かしたコーチングを世界に紹介するということをやってみたいと思っています。これまで、コーチングは海外からやってきた手法として私たち日本人は『学ぶ立場』だったと言ってもいいと思うのですが、日本にはもともと相手を敬う心や、言葉として語られない部分から感情を読み解くというような文化と共に生きてきたのではないかと思います。そういった文化や歴史背景を活かしたコーチングは海外に『輸出』できるのではないかと考えています。」――コーチングバンクに期待することがあれば、教えてください。
林 健太郎コーチ「ありません(笑)
というよりは、このまま続けてほしいというのが私の期待です。
コーチングバンクという存在こそが日本のコーチング業界にとって重要な事であり、必要なインフラだと思います。そういう意味では、同じスタンスで活動されることでどんどん熟成させる、そしてその趣旨に賛同するコーチがその存続を支えあうような仕組みができたらいいのではないかと感じています。
多くのコーチがこのインタビューで語っている通り、私もコーチングバンクに育ててもらったコーチの一人です。コーチとしてのプロフィールを常に参照できることは私のクライアントさんにとっても大きな安心につながっていますし、またコーチングバンクでご紹介いただいたクライアントさんの中のお一人は今では私の一番長く続いているお客様でもあったりします。
また、コーチングバンク代表の原口佳典さんとの出会いにも大きな価値があると思っています。お互いICFジャパンの理事としてコーチという職業の将来についてアイデアを紡ぎ、何かアクションを起こすことは喜びであり希望を私にもたらします。そういった意味でコーチングバンクには『ありがとう』という言葉を伝えたいです。」――最後に一言、御願いします。
林 健太郎コーチ「コーチングを採用しようと思っている方はコーチングバンクを活用して複数のコーチとまずは会ってみてください。本を読むよりも実際の経験のほうがはるかにわかりやすいです。
コーチングを学んでいる方は『なぜクライアントさんがあなたのコーチングにお金を払うのか』について考えてみてください。ナイスな会話で終わらない、結果につながるプロの技術こそが目指す場所です。
既にコーチになっている方は是非ICFジャパンの活動に注目してください。様々な情報が集約されているだけでなく、コーチとして業界に貢献する機会がたくさんあります。私と一緒にコーチング業界の未来を作りましょう!」――ありがとうございました。
(2013.12.22.メールインタビューにて、聞き手:aguni)