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登録コーチインタビュー
ビジネスコーチ
竹内義晴
−−竹内さんとコーチングとの出会いについて教えてください。
■竹内義晴コーチ 「私がコーチングと出会ったのは、2005年だったと記憶しています。拙著にも書かせていただきましたが、当時、私はコンピュータのシステムエンジニアとして、バリバリの技術系の仕事をしていました。
プログラムを作る仕事は、一人で行うときもあれば、大人数のプロジェクトを組むこともあり、さまざまです。
それまで、大規模なシステムも作ってきましたので、プロジェクトリーダーの重要性は理解していました。ですが、私はプログラムを作ることが大好きだったので、できればリーダーの仕事は誰かに任せ、ずっとプログラムを作る仕事をしたいと考えていました。
そんな中、結局、年齢の関係もあってリーダーを引き受けることになったのですが、コンピュータを動かす方法は知っていても、チームを動かす方法は全く分かりませんでした。知っていたのは叱咤激励ぐらい(笑)。当時は、いつもメンバーにプレッシャーをかけていたように思います。
でも、「これじゃダメだ。どうせ働くなら、みんながワクワク働けるような職場にしたい」と思いました。そこで、いろいろと調べていくと、あちらこちらで「コーチング」という言葉を目にすることに気づき、「ここに、何らかのヒントがあるのかもしれない……」と思ってコーチングを学び始めました。」
−−これまで、コーチとしてどのような活動をされてきましたか?
■竹内義晴コーチ 「そうですね。学び始めた当時はリーダーの仕事をしていたので、チームを1つにまとめるために、学んだコーチングのスキルを現場の中で実践してきました。その中で、自発的に考えるメンバーが増えたり、精神的なプレッシャーで落ち込んでいたメンバーが明るくなったりと、一定の効果を感じることができたこともあり、チームを1つにまとめることや、人の成長に関わることが楽しくなっていきました。
そこで、思い切ってシステムエンジニアからコーチへと転向しました。現在は、主にビジネスマン向けのコーチングを行っています。そのほか、企業研修の人材育成講師、ウェブ・新聞などでの執筆活動を通じて、情報発信を行っています。
そして、2010年3月に、これまで情報発信してきたメールマガジンがきっかけで、『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』という本を出版させていただくことができました。」
−−転身が大成功、というわけですね。では、竹内さんが、今後、コーチとしてやりたいことはどのようなことでしょうか?
■竹内義晴コーチ 「1つ目は、私は、チーム運営の中でコーチングを生かしてきましたので、「職場を働きやすくする」という観点の活動をしていきたいと思っています。
今まで、チームをまとめるためのノウハウとして、例えば、「目標管理」のような、様々な手段が紹介されてきました。ひょっとしたら、コーチングもその中の1つなのかもしれません。人材育成ツールやノウハウを中心に考えるあまり、本来最も大切であるはずの、「メンバー1人ひとり」を見てこなかったのではないかと思います。
「人そのもの」を見ていないので、「目標管理は効果がない」「コーチングは効果がない」など、ノウハウの効果を疑う声が聞こえてくるのも仕方のないことなのかもしれません。
でも、私たちは、褒められればやる気になるし、認められればうれしくなる。難しいツールやノウハウもいいのですが、このような、「人としての原点」にもっとフォーカスした、シンプルな人材育成に関われたらと思っています。
もう1つは、精神的な疾病予防という観点です。ファイザー株式会社が2008年4月に行った調査によれば、「8人に1人が潜在的うつ病・うつ状態の恐れ」があると言います。この数字だけでも驚かれる方も多いと思いますが、今後、益々増えていくでしょう。けれども、今までは「あの人はそういう人だから」「自分で病院に行きなさい」くらいで片付けられていました。
実は、私自身過度なプレッシャーにより、肉体的、精神的に追い込まれた経験があります。そのとき、アドバイスなどなく、上司に話を聞いてもらうだけで本当に救われました。また、追い込まれた部下を疾病と判断されるギリギリの環境から救ったこともあります。
「そうなってしまった後」の対処は難しくても、「そうなってしまう前」ならば、職場レベルでもできることがあるはずです。難しいカウンセリングの知識はなくても、ちょっとした話の聴き方だったり、気遣いだったり、言葉のかけ方だったり。そういった、日常の会話ベースで、「職場でできる活動」の重要性をもっと広げられたらなと考えています。」
−−まさに今回の書籍はその処方箋のようにも感じられます。
■竹内義晴コーチ 「そうですね。今回出版した本も、難しいスキルには触れず、リーダーだけではなく、メンバー同士でも、ちょっと会話を工夫することで、自分の職場がもっと働きやすくできるんだ……という思いを込めて書きました。この思いを、伝えていけたらいいなと思っています。」
−−すばらしい活動ですね。それでは最後に、コーチングバンクに期待することがあれば、教えてください。
■竹内義晴コーチ 「そうですね。今、時代の閉塞感により、夢や目標を持って行動できるような、ガッツがある方ばかりではありません。むしろ多くの方が、仕事や、日常生活の中で、様々なシーンで問題を抱えたり、悩んだりしている方も多いはず。
問題や課題を解決し、成果につなげるコーチングは、今こそ、求められているものではないかと思います。
その一方で、「コーチング」という言葉自体がそうですが、あらゆる情報が横文字で表現されることも多く、コーチングに初めて触れる方にとっては、「なんとなく難しそう」と思う方もいるでしょうし、「ちょっと胡散臭い(笑)」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
できるだけ平易な言葉で、誰がコーチングに関する情報に触れても、「あっ、そういうことか」と分かること……そのような情報が集まる場所であればいいなと思いますね。それによって、多くの方の問題を解決し、成果につなげられるきっかけができる場であればいいなと思っています。」
−−ありがとうございました。
(2010.03.05. メールインタビューにて 聞き手:aguni)